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今回の旅行は、横浜を出発地とする送迎バスと、白馬のホテル一泊がセットになったツァーを利用した。 現地は全てフリータイムのうえ、二日目ホテル出立が14:30 と遅いので、八方尾根トレッキングにはお誂えむきスケジュールだ。もちろんスキー利用でも価値が高い。 宿泊先は格調高いリゾートホテル、食事は晩朝ともにバイキングである。 そして、平日限定のお得な料金。 そのために人気は上々で、バスは満席であった。 だが、登山目的どころかスキー客でさえ皆無であっつた。皆、ホテル内や近くの立ち寄り湯、オリンピックジャンプ場施設などの見学で時間を潰したようだった。 もったいない話だ。 トレッキングは無理でも、せめてゴンドラで上まで行けば素晴らしい展望と巡り会えたのに。 車窓からの景色でさえ喚声があがっていたのに。 他の客のために惜しむ。 初日は強風のためにゴンドラの運行は中止されていた。 二日目は穏やかな絶好の日和となった。 我々は運が良かったのは確かだが、準備計画を充分練ったからこそ絶好のチャンスをものにできたのだ。 さて、家内がトイレを済ます時間を利用して、これから辿るルートを観察した。 雄大な八方尾根が唐松岳山頂付近まで見通せたが、ガイドブックによる尾根を辿るルートと左山腹を巻くルートなど、この時期はどこも真っ白で見分けがつくはずもない。所詮夏のコースなど参考になりはしない。 先行者がいないので大変心細いが、尾根を外さぬように進むしかない、と覚悟を決めた。 そうこうしていると、私の後ろで7~8人のグループがボードを担いだままスノーシューを着け始めた。 彼らが上を目指すことを確信した私は、家内が戻っても暫く待つことにした。 仕度ができた2人が先行して出発したので、我々も素早くその後を追った。 彼らはトランシーバーを携帯していて、遅れている組と交信しながら歩いていた。 上り始めは傾斜がきつい。だが雪は締まって硬く、踏み跡が掘れてトレースが付くようなことはない。スパイクが良く効き、歩幅も自由なので案外歩きやすい。 どこを歩いても自由だが、尾根を外して滑落すると危険なので、その点さえ注意すれば最高の展望の雪道は快適そのものであった。 スノーシューを履いたボーダー2人は歩きにくそうで遅い。 だがそれ以上にこちらは遅いので次第に間隔が開き、後発組にも抜かれてしまった。 40分ほどで第二ケルン着。 この先は傾斜が緩み、緊張も緩む。ベンチがあり雪が取り除かれていたので座って小休止した。 家内は喘いでいたが、ここで腰を落ち着けて休み、回復したようだ。 そこからは、広い尾根をゆっくり登り大きなケルンにたどり着いた。 八方ケルンとある。 目的地の第三ケルンもそう遠くない場所に見えた。 これで今回計画通りの踏破は間違いないと思ったが、開けた稜線上で風が急激に強くなりヨロケルことさえあり少し不安になる。 荒れた日の冬山は、私などの手にはとても負えないことを改めて痛感した。 我々の大変遅い歩みにかかわらず、第三ケルンへの所要時間は夏場の標準時間の90分を切っていた。 下方に見えるはずの八方池は完全に雪に覆われていて池があることさえわからない。所々で雪の上に頭を出しているロープの支柱でその周囲を推測するだけである。 そして、この弟三ケルンからは、今まで見えなかった不帰の嶮(カエラズノケン)を眺めることができた。 白馬鑓ケ岳と唐松岳の間に続く鋭い峰々である。 その名の通り、登ったら最後、二度と戻れそうもない険しさであった。 それにしても、ここ第三ケルンは寒風が吹き荒れていてとても長居などできない。写真を撮り終えてすぐ下ることにした。 ところで、驚いたことに先行していたボーダーの団体は、さらに上を目指して登っている。 我々なら、背負っているボードがヨットの帆の役割をして、たちまち飛ばされてしまうだろう。 尾根筋から谷側の広大な急斜面をよく観察すると、シュプールらしき跡が点々と確認できる。 最上級の冒険的スキーヤーやボーダーたちは、想像を超える急斜面でも雪が付いてさえいれば滑走してしまうらしい。 そして、ボーダーの団体が目的地に着いた様子なので、その冒険的滑走振りを見物したかったのだが、時間の関係で仕方なく断念した。 第二ケルン辺りで遊んでいたらしいスノーシューの大集団が一列縦隊でノソノソと下っていたので、尾根を外して追い越し、あっという間にリフト乗り場へ下山してしまった。 そして、次のリフトまで降りて、軽食を取りながらオリンピック滑降コースにもなったゲレンデを降りてくる上級者の滑りをしばらく眺めて見た。これはなかなか楽しい。 スキーヤーは年配者が多い。ボーダーは若者が多い。だがボーダーのほうが総じてヘタである。良く転ぶ。急斜面でのスラロームができないのか横滑りでズルズルと降りてくる。エッジが効かないスノーボードの特性なのだろううか。 ゴンドラ乗り場で、見納めに周囲の景色を脳裏に焼き付けた。 朝は確認できなかった信州側の高峰、妙高山・戸隠山・火打山などの山々が天空に浮かんでいた。 私の拙い表現力では形容し難い見事な景色である。 ホテルには出発時間の1時間前に戻ることができた。 出発までの間に、ホテルの温泉につかり、二人で無事を祝い旨いビールで乾杯し、バスに意気揚々と乗り込んだ。 |