HOME 道志村には静かでいい山がたくさん。入山者が少なく登山道が荒れていません。 山中には人工物が何もないです。 ベンチなどはもちろん、嶮しい場所でもロープ・クサリなどはありません。 小さな標識が最小限あるだけ。心細いくらいです。 頼れるものは自分だけ、山と互角に対峙する気分ですね。 展望が開ける場所は少ないです。唯一ウバガ岩は大展望、そこだけで大満足でした。(写真) 菜畑山~今倉山~御正体山へと連なる道志の山々、その先には日本一の山。 左に降下し道志川。 今回のコース、健脚者は菜畑山へ足を延ばすことが可能です。私も検討しましたが、赤鞍ヶ岳の先はアップダウンがきついので止めときました。 コース&タイム; 水源の森P9:10~大栗登山口9:20~1257峰(ワラビタタキ)11:05~11:15ウバガ岩11:40 ~11:25赤鞍ヶ岳11:30~11:35分岐(秋山峠)へ戻る11:45~竹之本14:00~14:20駐車地 所要時間;5時間10分、歩行時間;4時間半 道志の山はアプローチが悪いので馴染みの薄い山域だったが、昨年圏央道が茅ヶ崎まで開通し大分行きやすくなった。 新湘南バイパス、圏央道と乗り継いで相模原I.Cで降り、道志道に入る。 道志道は国道413号線の愛称で、津久井(現相模原市)の青山から山中湖の平野に至る道志川に沿ったローカル道路。 だが鉄道のないこの地方にとっては唯一のライフラインである。 私は中央自動車がまだ2車線の頃、身動きがとれない中央道を捨て、道志道を利用した経験が数回ある。 両岸に山が迫る道志川はそれだけ清流の証で、キャンプ場が上流部に至るまで点々と開設されている。 この地でのキャンプ経験もあり、記憶に残る場所である。 川沿いの集落で購入した焼きトウモロコシの美味しさ、今でも忘れることはない。 また道志村で思い出すのが「おらあ三太だ」 昭和30年代のTVドラマ、少年が道志の山や畑や渓流を舞台に活き活きと暮す日常や、 小学校分校のやさしい女教諭との交流が描かれたドラマで、自分の学童期とも一致する。 今では見ることができないモノトーンの世界。懐かしい昭和の原風景である。 そんな時代は遠くなり、悪路の道志道は全線舗装の二車線に整備され、走り易い道となった。 信号のない道志道、カーブが続くものの40~50kmのスピードで流れ、道志村役場の少し手前にある水源の森駐車場へ青山交差点から40分ほどで着いた。 水源の森利用者以外は駐車禁止の看板がある。水源の森とは対岸にある森の体験施設を指すのだろうが、この辺り一帯の森林が水源の森そのもので、 その恵みの美味しい水は横浜市民がありがたく享受している。ということは私も水源の森の利用者の一人であり、遠慮なく駐車させてもらった。 この他にも、付近林道のスペースや役場の駐車場など、駐車地には困らないだろう。 国道を少し戻り、大栗集落入口にある大きな石碑が設置された場所に赤鞍ヶ岳を指す小さな標識があった。 高圧送電線鉄塔を通過し、林道を横切って本格的な登りとなる。振り返ると大室山と加入道山が大きい。 大室山はどこから見ても丹沢随一の大きさだが、加入道山がこれほど立派な山容とは道志側から見て初めて知る。 ゴトウ岩と書かれたヒキガエル似の岩を過ぎ急登となる。岩稜的急斜面を両手もフル活用しながら登る。重労働だ。巌道峠分岐で稜線に乗った。 1257m峰は三角点が埋設されただけのつまらない山頂である。直下には雨量計設備がある。 ところで、手持ちの古い昭文社登山地図ではこのピークを【赤鞍ヶ岳】(ワラビタタキ)と記しているが、国土地理院の地形図では標高点だけの無名のピークである。 登山地図に朝日山と記された1299m峰を国土地理院では赤鞍ヶ岳としている。 おそらく地元では1299m峰=朝日山と認識していた。やがて誤った山名でも訂正されないままの国土地理院の記載が正式山名として定着していったのだろう。 ハイカーには隣り合わせに二つの赤鞍ヶ岳があるようで紛らわしい。 ここ(1257m峰)では休憩もしないで先へ進んだ。 本コースの目玉とも云えるウバガ岩、1257m峰から10分ほどで到着す。素晴らしい展望。今日は澄んだ空気、遠望が利く。未だに雪を被る富士山。 欲を言えば奥多摩側の眺望もほしい。 ウバガ岩と云う不思議な名称、山ではよくあること。地元の何人かが仲間内で呼び合っていた名が定着したのだろう。 現代では人気ウエブサイトで仮に名付けられた地名がネット上で独り歩きし、根付いてしまった例がいくらでもある。 また、好みの名を標識にして名付け親の如く山頂に取りつけてしまう例も見受けられる。地名がないと不便な場合があることは確かだが、節度が必要だ。 ウバガ岩から秋山峠まで快適な稜線歩き。適度なアップダウンのヤセた尾根、灌木帯の中を行くので高度感はない。ミツバツツジが点々と咲く。 ここで本日初のハイカーと遭遇した。しかも団体。痩せた稜線上のこと、一行が通過するまで脇で待機せざるを得ない。 “お一人でいいわね” と声をかけられた。余計な御世話だ! “私が最後です、申し訳ありませんでした” 最後尾にはマナーの良いツアーリーダーがちゃんと配置されていた。 年配者の多い30人程度の団体、どのルートで至ったにしろ随分歩いた後なのだが、遅れている者もなく皆さん涼しげで、一番疲れた顔は自分のようでした。 秋山峠は縦走路と竹之本からの登山道との交差点で、南西側が開けた小広い休憩地。菰釣山が大きい。ベンチもテーブルもない休憩地。 私は村役場がある竹之本へ下山する行程だが、山頂は省略せずに踏んでおく。本日の最高点赤鞍ヶ岳1299mまで峠から5分程度、樹林の中を緩やかに登る。 赤鞍ヶ岳へは主稜線のほか秋山川からの登山道があり、山頂で合流する。こちら側は頼りなさそうな道である。 秋山峠へ戻り、残すは高低差700mの大下り。急降下の連続、ころげ落ちそうな場所もある。 地図では979m峰ピークを踏むよう記されている。実際にはピークは踏まずに東側を巻く。私はその分岐を見落としてしまい地図の通りに山頂に登り返してしまった。 ところが山頂から先に明瞭な道はない。しかも尾根が山頂から東と西に二分していて、登山道が東側を巻いたことに気付いていない私は大変迷った。 ここは直感に頼ることなく立ち止まり、持参していた地形図を取り出し、丹念に地形・方角を読む。正しい方向の尾根を下りて無事に登山道と合流した。 道を間違える時はこんなもの。変だと感じたなら必ず地図を確認すること。自分は何度か失敗している。 さらに下った林道は、地図では横断して直線的に村役場へ下るルートが記されている。実際にはそのルートはない。林道に出会った後はその林道を忠実に下る。 途中で林道が柵で閉鎖されているヶ所がありドキッとしたが、ちゃんと扉があって通り抜けることができました。動物よけの柵でした。 |