山野紀行HOME


大山の紅葉名所を訪ねて 2008/11/20


コース&タイム;関東ふれあいの道【大山参り蓑毛のみち】
秦野(バス)8:05=8:30蓑毛(大日堂参詣)8:40~9:40下社10:00~10:15大山寺10:40~
11:20見晴台 770m 11:40~12:20日向川林道12:25~浄発願寺跡地~12:55日向薬師バス停13:15=伊勢原駅
歩行時間;3時間
所要時間;4時間25分

下社にて 境内にはたくさんの写真愛好家が夢中で撮影しておりました

大山下社周辺の紅葉が、11月も中旬を過ぎて見頃を迎えておりました。 11月22日から1週間ほど20時までライトアップされ、ケーブルカーも時間延長して運転されます。 大山全体の紅葉は今一歩なのですが、下社周辺の紅葉、大山不動寺のモミジはそれは見事なもので、ライトアップするのも頷けました。
当日は快晴のもと、蓑毛から裏参道を下社へ登り、山頂はパスし、日向薬師へ下山するコースで紅葉スポットを観賞してまいりました。 もちろん大山不動寺へもしかっり立ち寄ってきました。 大勢の写真愛好家が訪れておりましたね。
見事な紅葉にライトアップ中に再訪したくなりました。
尚、当ハイキングコースは関東ふれあいの道に指定されており、よく整備されています。



小田急秦野駅の蓑毛行きバスはヤビツ峠行バスの途中停留所でもあることから、乗り場は同じ場所で、利用者は表示に従い別々の列を作ってバスを待つ。
平日8:05発の蓑毛行きに続いてヤビツ峠行が出るのだが、こちらは既に長い列、1台では乗り切れないほどだ。ほぼ全員が中高年のハイカーである。女性が多い。 大ブレイク中のきみまろさんのネタになりそうな光景があちらこちらに見られ賑やかだった。

中高年、居場所を求めて山へ行くのか
中高年、流行りの服で着飾って、外出先は山ばかりなり
おばさんたちのハイカーは、山へ向かうバスを待つ間がもうヤマ場
中高年のおじさんは、高級デジカメ抱えて山へ行き、操作にてこずり一日が暮れる


こちら蓑毛行きバスは通勤通学客を乗せ、定刻に出発した。満席だった客は名古木で皆降りてしまい、終点蓑毛では数人のハイカーのみが降り立った。蓑毛が大山の表玄関として栄えた時代は遠い昔である。
私は初めての地なので、バス停の近くにある大日堂にお参りした。社殿の扉は閉ざされていたが、扉に穴が開けられていて、そこから覗くと暗い室内に幽かな明かりが大日如来像を照らし、金色の像が薄く浮かび上がる凝った演出である。 その演出の効果もあってか、とても穏やかな表情の如来様でありました。
周囲一帯は臨済宗蓑毛山宝蓮寺の境内で、県重要文化財の大日如来像をはじめ、多くの文化遺産建造物が残されていて、私はそのことを知らずに好奇心から立ち寄っただけだが、その荘厳さに驚かされた。

関東ふれあいの道はヤビツ峠への柏木林道としばらく同じで、その後標識に従い分岐し日向薬師方面へ右折する。 林道を3回横切り、蓑毛越と云う、山頂と善波峠とを結ぶ南稜の交差点となる峠状の休憩場所を経て、山腹を巻きながら阿夫利神社下社まで約1時間の道程である。よく整備された静かな山道だった。
下社の一角に入るとそこはもう観光地、大勢の観光客が紅葉狩りに訪れていた。平日にかかわらずケーブルカーはフル回転、到着する度に車両満杯の客が吐き出されてくる。 まだ時間が早かったので境内は静けさの余韻があったが、時間が経つに従い混雑してくるのだろう。
本来大山一帯の紅葉は取り立てて騒がれるほどの美しさはない。しかし、此処下社周辺は別格なのだった。モミジ系の赤とカエデ系の黄が陽に映え、見事なグラデーションを醸し出していた。
続いて大山寺へ下る。こちらも大山の紅葉名所で見逃すわけにはいかない。下社の案内板には女坂を30分とあるが、15分ほどで下り着いた。女坂と雖も大山名物の急な石段の連続である。 ケーブルを途中駅の大山不動で降りた紅葉狩りの客が大勢い登ってきたが、下る者は私一人だった。

大山寺の歴史は古く、755年、奈良東大寺初代別当(住職)の良弁(ろうべん)が開山したという。その後も弘法大師が在籍したことでも知られる。もっとも弘法大師伝説は全国各地に溢れているようだが。 本殿は元々下社の場所にあったが、明治の神仏分離令によって現在の場所に移された。本尊は鋳鉄製の不動明王像で古来より広く人々の信仰が厚かったために廃仏毀釈運動による破壊を免れたと云う。今では国の重要文化財に指定されている。

大山寺本殿へ上がる石段はモミジのトンネルの中にあった。
逆光に輝く深紅のモミジのトンネルを見上げる観光客から感嘆の声がしきりである。
石段に安置された石仏群も赤く染まっていた。
本殿の横手にはカワラケ投げができる場所があって、谷側に吊り下げられた大きな輪を上手く潜ると願いがかなうとされている。カワラケ2枚で300円也。

大山不動の見事なモミジ

再び下社へ戻り、茶店の下から見晴台へ向かう。この間は山腹の巻道で概ね水平である。何組かのハイカーとすれ違う。八時過ぎのヤビツ峠行のバスを利用し、山頂を経て降りてくると、早い人は今の時間になるようだ。
下社から10分足らずで二重の滝を通る。此処も紅葉スポットで、水流は細いが落差のある滝と紅葉がよくマッチし、色づき艶やかかに錯覚してしまう。
見晴台はお馴染みの場所、テーブルがたくさん設置されていて大勢の登山者が食事休憩中。ツアーの団体さんも休んでおりました。
そこから見る大山山頂はずいぶん遠く高く見えます。初心者のハイカーは振り返り、あそこへ登ったんだ!との感激に浸ることでありましょう。
この先、日向林道に建つ県立青年の家までは20数年ぶりのルート、案外記憶に残っていて、尾根筋を左に折れてジグザグと下る。その尾根の直進方向には子易へ下るルートがあるはずだが、探したものの道は見いだせなった。
バス時刻を調整しながら林道をブラブラと下った。時間調整のため浄発願寺跡地へ寄り道した。この寺は江戸時代に男の駆け込み寺として知られていたようで、火つけ殺人を除き、罪人はここに逃げ込み刑罰を免れたという。
大山の麓には由緒ある寺院が多いことを今回改めて知った。辺鄙な場所なのにと考えるのは我々現代人で、江戸期以前の人々は何処へ行くにも徒歩、交通の便の良し悪しと云う概念は持ち合わせていなかったに違いない。

2008/12/1 掲載

索引へ 、 登山歴へ