HOME


鋸山&ばんや食堂 其の2



千五百羅漢

山頂を後にし、大仏に向かう。大仏へは直線的に急降下するルートがあるが、我々は千五百羅漢を参拝しながらS字状に緩く下ることにした。
羅漢とは悟りを開いた高僧を指し、釈迦の直弟子のうち高位のものはみな羅漢となる。千五百もの羅漢石仏が1ヶ所に安置された場所は世界的にも此処だけと云うことで、大変貴重な文化遺産である。
石仏は首が落ちたり風化が進んだものも多いが、悟りを開いた高僧とはとても思えぬ庶民的で個性あふれる表情~笑顔・泣き顔・怒り顔~をしたものも数多い。 数えきれない石仏だが女の石仏は数えるほどしか見かけなかった。
また、所々でひときわ大きく立派な石仏が安置され、それぞれ名前が付けられたいた。
五百羅漢は各地で見かけるが、此処の千五百羅漢は別格で、見逃すことは出来ない文化歴史遺産である。


大仏

千五百羅漢を過ぎ、S字最後のカーブをゆっくり下って大仏へ向かう。
私は当地は4度目だが、梢から垣間見る大仏のでかさには初めて見るように驚かされた。
総背丈およそ31m、日本1とある。奈良東大寺の大仏18mをはるかに凌ぐ。 一応磨崖仏だが、肉厚なので独立仏のように鎮座し、先の百尺観音が薄っぺらく思える。大仏の周囲は手入れが行き届いた広場になっていて、日本寺随一の休憩場所である。
既に正午を過ぎた。大分腹がすき、ビールモードである。だが食事場所までさらに1時間以上も歩かなければならない。下山は石畳の表参道を下る。
日本寺は現在大伽藍の復興に取りかかっていて、完成までには多額の費用と長い歳月を費やし、落慶の後には鶴見総持寺と並んで曹洞宗の本山としての役目を果たすことになるのだろう。
日本寺本尊薬師如来像は現在仮の本堂に安置されている。この本堂を通過し仁王像が守る三門を境内側から抜けて内房なぎさラインと呼ばれる国道127号線へ出た。 内房線ガード手前から線路伝いに保田駅へ至る遊歩道が左に伸びているが、我々は海岸沿いに南下する。そこから【ばんや】までおよそ2kmの距離。
交通量の多い国道を長く歩くことは楽しいことではない。国道と並行して細い道が海沿いに走っていることは事前に確認しており、しばらくして右折し海岸に出た。
砂浜が大きく広がる海岸は元名海岸と云い、開放感に溢れている。そこは東京湾口部で、もはや外海の広がりだった。
ほとんど車が通らない小道は、地元のお年寄りや犬連れの格好の散歩道である。潮が引いた小磯ではワカメ拾いの人を見かけた。

ばんや食堂電光掲示板のようなお品書き

【ばんや】は保田漁港の敷地内に“日帰り湯”“新館”“本館”の3施設があって、本館が一般客の食事処となっている。 100人くらい収容できるスペースだが、週末の昼時は待客の行列ができるほどの人気とのこと、それだけの値打ちがあるということか。
食と海辺のレジャーを一体化させた保田漁協【ばんや】の取り組みがネットやマスコミで紹介され、都会からの客が急増し、 水揚げされた鮮魚の付加価値が大幅に向上し、漁業者の所得向上や地域の雇用拡大など漁業経営を安定させた、 ということが評価され、農水省の「立ち上がる農山漁村」にH20年選定され、ますます賑わうこととなった。
実際に現地を訪れた印象は【ばんや】のみならず、鋸山など周囲の観光地やフェリー、タクシー会社など地域全体に好影響を与えているようだ。
店内に入るとまず受け付け名簿に名前と人数を書き案内を待つ。イス席と掘りごたつ式の座敷席があり、いずれも長テーブルの相席で大人数にも対応しやすくなっている。
注文は客が伝票に記入したものを係りがデジタル端末に入力し厨房に届く仕組みで、混雑時にも間違いないように対応している。 ただ、注文を受けることが出来る係りは端末を所持している者に限られ、客からは不満が残る。

さて当日は平日で、昼食としては遅い14:00頃の到着だったのだが、まだまだ結構賑わっていて、既に売り切れのメニューもあった。
我々は、サシミ三点盛り×2・アナゴてんぷら×2・キンメ煮付け×1・朝獲れ握りスシ×2、 なまビール×4・お酒二合×3を注文し、以上で約13,000円だった。さすがに鮮度抜群、魚好きにはたまりません。人気のスシはネタはさすが、シャリや握りはやや雑でした。
人気にかこつけてではないでしょうが、食べログなどネットで調べた情報に比べて値段は上昇気配です。最も私は食べログ情報を信用しているわけではありませんが。 いずれにしろ、美味しさとお得感、どちらか一つでも崩れるとたちまち評判を落とすことでしょう。
帰路のフェリーに間に合うようタクシーを呼んで金谷港へ戻りました。

其の1に戻る

no.11 いたち川の風景へ , no.10 鋸山&ばんや食堂 , no.9 姫の沢公園へ