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西丹沢縦走     2003/06/26


  
大きな富士山が顔を出した            尾根に咲くヤシオツツジ


 天気予報によると、梅雨の晴れ間が期待できそうな6/26・27に久し振りに思い切って山中1泊で本格的に山を単独で歩いてきました。
丹沢山塊の主だった頭峰の山頂は既に踏んでおりますが、西丹沢道志奥の菰釣山(コモツルシヤマ)1379mはアプローチがあまりに悪いので、気に掛けつつも登頂を果たせないでおりました。
梅雨が明けて真夏日になるとこの山域の登山は辛すぎるので、そこで今回梅雨の合間に歩くことにいたしました。
コース概要は以下の通りです。
丹沢湖上流の中川温泉付近より入山し、畦ケ丸を経て甲相国境尾根を辿り、城ケ尾峠を経て菰釣山手前の無人避難小屋に泊まり、翌日は山頂からさらに尾根を西に辿り、当初のもくろみは三国山稜を経て篭坂峠へ下山するつもりでしたが、疲労で断念し、途中から山伏峠に下り、国道を山中湖の平野~旭ケ丘まで延々と歩き、そこから富士急バスでJR御殿場駅へ戻りました。
山中、人と出会うことはありませんでした。
このコースは東海自然歩道に指定されていて、そのなかでも難易度の最も高い地域と言われていますが、さすがに登山道そのものは良く整備されていて、肝を冷やすような危険箇所もなく、道標も充実しておりまして、迷う心配もありません。
何ゆえに難所と言うか~単にきついのです。行程が長すぎて日帰りでは無理なのに、宿泊施設は無人小屋があるだけ。道中は昇り下りをイヤというほど繰り返し、徐々に足に効いてきます。途中水場がないので、食料と水で荷が重くなります。重いザックが肩に食い込んできます。とうとう足が上がらなくなってきます。
気持ちを和らげる展望を得ることもできません。励ましあう登山者にもめったに出会うことがありません。肉体的にも精神的にも辛さが増すばかりです。難所と言われる所以です。

今回の登山データーを示します。

1、 装備
37Lザック・ザックカバー・食料4食分・副食菓子少々・飲料~水1L、午後の紅茶0.5L、酒1.5合・上下レインウェア・折りたたみ傘・替え長袖シャツ1枚・替え靴下・ヘッドランプ・キャンドルランタン・地図・磁石・ナイフ・固形燃料・コヘル・マグカップ・イヤホーンラジオ・敷きマット・オリンパス35~120mmズームカメラ・三脚・8倍双眼鏡・老眼鏡・タオル・ティッシュ・マッチ
総重量13KG
2、 服装
即乾性丸首半袖Tシャツ・ベスト・下ズボン・綿ズボン・登山用靴下・革製登山靴・帽子は持参したが着用せず・スパッツ(必需品)・ストック
3、 食事
初日昼(12:20)~おむすび2ケ  初日夜(17:00)~味噌おじや、ゆで卵、シシャモ3匹、晩酌(19:00~)酒1.5合
翌日朝(3:30)~菓子パン1、温たかい紅茶、ゆで卵  翌日昼(9:00頃)~菓子パン1、自販機のコーラ0.5L  御殿場駅で(11:00)~缶ビール1、つまみ
持ち帰った物~カップラーメン1、菓子パン1、菓子1袋
4、 避難小屋の様子
広さは2K×4Kほどの板張り平屋で、内部は土間と板敷き寝床が半々位に分かれています。小屋前はちょっとした広場でテーブルが二ケ据えられています。室内土間には6人掛け木製テーブルがあります。寝床は八畳ほど、6人で一杯でしょう。扉は引き戸で板張り、僅かな明り取りがあるだけで、昼間でも薄暗い造りになっています。毛布4枚、枕三個が備品として用意されていました。
トイレの設備はありません。雨水を貯めるカメがあり、手洗い・食器洗いに利用できます。利用者のマナーは良く、清掃は行き届いています。丹沢には無人避難小屋が6箇所あり、どこも同じような規模で、1年中無料で利用できます。
尚、表側の扉は開きません。裏側の扉を利用します。
5、 小屋での過ごし方
日没後(当日は19:00頃、 山影では平地より早く日没になる)僅かな時間で暗闇となります。星明りの無い夜は全くの暗闇~漆黒の闇、目が慣れるということはあり得ません。持参のライトで仕度するのは不自由このうえないので、食事、片付け、寝る準備、翌日の仕度などは日のある間に済ませておきます。18:00頃には全て終了し、貴重な酒に手を付けたくなりますが、ここはまだ我慢します。夜は長いので。
小屋に置いてあった漫画本を残照で1時間ほど読みました。
いよいよ闇が濃くなり、雨音が強くなってきました。幸い降り始めたのは小屋に辿り着いた後でした。キャンドルランタンを灯し、持参したマットを敷き小屋の毛布を拝借し、寝転びながらチビリチビリと大切にやります。ラヂオはナイター中継ばかりなのでニュース天気予報を聞いて、消してしまいました。感度は良好でした。
柔らかなろうそくの明かりが小屋にふさわしく、ありがたい。このキャンドルランタンは優れもので、専用のろうそくを使用して10時間以上燃え続けます。しばらくウトウトして、小降りの合間を見計らい、ヘッドランプで外の様子を探りがてらに用を足し、完全に寝付いたのは22時過ぎでした。
心細さは否めませんが、思いのほか快適でした。
目覚めた時はまだ2時を少し廻った時間。起き出すには早すぎます。
再びろうそくを灯しラヂオを聞きます。驚いたことには深夜放送は70歳以上の老人向けに編成されていて、深夜放送は若者向けという思い込みは、遠い昔のことであることを知りました。今では、若者はラヂオなどに見向きもしないのでしょうか。3時起床、ヘッドランプで朝食片付け・4時出発 睡眠時間は4時間程度。
6、 タイムデーター
6月26日 曇 御殿場線谷峨駅8:36=富士急バス=9:20大滝橋9:25~大滝峠上分岐11:30~12:20畦ケ丸避難小屋12:45~14:25城ケ尾峠14:40~16:05菰釣避難小屋
6月27日 曇  避難小屋4:00~4:25菰釣山4:30~6:30西ノ丸6:40~7:15山伏峠分岐7:20~7:45トンネル出口8:00~平野8:50~湖畔~9:45旭ケ丘9:53=富士急バス=10:35御殿場駅


菰釣山避難小屋


7、 コース状況
バス停から林道を10分ほどで山道となる。渓谷に沿って緩やかに登る涼しい道が稜線まで続く。避難小屋を通過し稜線まで2時間。途中二段に落ちる大滝が見える。降り続いた雨によって水量が豊富でなかなかの迫力であった。1293m畦ケ丸避難小屋までは長くきつい登りがある。ここまで3時間、甲相国境尾根まで20分下る。戦国時代から甲斐と相模を結ぶ古い峠、城ケ尾峠までは天然雑木林のヤセ尾根を上り下り繰り返し進む。
峠まで約5時間。展望はないがブナ林の、趣ある、落ち着いた場所である。
右に下ると道志川キャンプ場。左は踏み跡が薄いが地蔵平へ下る。峠を直進しほぼ緩やかに登り続け6時間半で菰釣避難小屋に到着す。
翌日、小屋から山頂までは30分の登り。1379mは本コース最高点、富士山・御正体山の展望が良いということで、日の出を待つつもりが、当日は視界不良で断念した。
ここから山伏峠分岐までが長いこと。忠実に稜線に沿って尾根道を行く。周辺はブナ林だが大木は少ない。数え切れないほどの頭峰をあまりに忠実に乗り越していく。たちまち昨日の疲労がぶり返し、足が上がらない。ザックが肩にめり込む。この分岐まで2時間半の予定を既に1時間近くオーバーしてしまい、その後の予定コースを断念し、山伏峠を下った。途中霧の晴れ間に、びっくりするほど大きな青い富士山を見ることができたのは幸せであった。この後車道を約2時間歩き、御殿場行きのバス停がある、山中湖旭ケ丘にたどりついた。

8、 反省点
・荷の軽量化のために酒を減らしたことは大失敗であった。
 特にビールは重くても担ぎ上げるべきであった。
・水を大量に消費し不足したこと、やむなく小屋に汲み置いてあった採取日不明の水を沸かして利用した。
 小屋からは水場まで往復40分の距離があり、汲みに行く元気がでなかった。
・水不足でカップ麺が役に立たないことになった。
・重荷を背負う登山は疲労度が極端に増す、翌日の行程は無理であった。
・疲労が強いと食欲が減退する、味噌があってよかった、果物がほしかった。
・食料にはもう一工夫必要であった。
・ヘッドランプの予備電池は持参すべきであった。
・ティッシュの他にトイレペーパーも用意すべきであった。

 感想
このコースは、起伏の多い長い山道を、淡々と、延々と、黙々と孤独に陰気に歩くことが好きな方にはピッタリです。まさに自分好みのジミなコースです。
東海自然歩道完歩を目指す人にとっては避けて通ることはできません。

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