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晩秋の丹沢長尾尾根&よもぎ尾根周回 (最高点1340m) 2006/11/08


錦秋の長尾根



コース&タイム;札掛8:10~長尾尾根(休憩20分)~11:20新大日1340m11:50~13:10烏尾山13:30~
よもぎ尾根~14:20よもぎ平14:40~15:40札掛
所要時間;7時間半、歩行時間;6時間


今回は表丹沢方面では名の知られた山のベテラン、M子女史とご一緒させていただきまして、不倫的デート登山を行ってまいりました。
女史はコース選びにとてもこだわる方でして、コースを任された当方は女史がこの方面に顔が広いことを考慮して、知人と出会う煩わしさを避けるために出来るだけマイナールートを選ぶなど、 随分と気遣いし睡眠時間を減らして熟考した末、ようやくご承認いただきました。
好天気に恵まれたことも幸いし、どうやら合格点の模様でありました。
このコースは最後に渡渉があります。
女史は水量豊かな沢を飛び石伝いに身も軽やかに、ヒザを痛めた当方を尻目にして、サッサと対岸に渡ってしまいあそばれたのでした。
無事に下山し、不倫的はあくまで的でして、それ以上の展開はありませんでした。 不倫的登山、とても楽しい1日ではありましたね。


秦野方面からヤビツ峠を通り過ぎて10分ほど下り、藤熊川を渡り札掛の分岐を左折するとすぐに県立札掛森の家の無料駐車場があります。15台程度のスペースがあります。 札掛森の家は立派な施設ですが、その業務・活動内容を私は知りません。到着した駐車場下の沢で早くもフライのラインを熱心に振っている釣り人が一名おりました。
8時過ぎに出発し、ダライゴヤ沢に沿った林道を登ると直ぐに丹沢ホームの建物が右側にあり、その敷地を通過するように長尾根の登山道が始まります。小さめな新しい標識がありました。
丹沢ホームは立派な建物で、渓流釣りや山の散策を目的に宿泊してみたくなりました。
でも私は、“宿泊したいですね”などと云うと誤解を招きそうなので黙って通り過ぎました。
長尾根は正しくは長尾尾根と標記するようです。ここではどちらも入り混ぜて使用しています。
札掛一帯の樹林は素晴らしいです。長尾根取り付きの道も天然大木の宝庫でした。始まったばかりの登山ですが、色付き始めた天然樹林に接して早くも来てよかった!との満足感が漂いました。
道は本谷川方面からのルートと合流し、稜線を右側に巻きながら進みます。あくまで穏やかです。鹿の気配と鳥の鳴き声がかえって静けさを醸し出しとてもいい雰囲気です。人の気配は全くありません。 女史はダブルストックのワッカを歩き出して直ぐに両方ともに失ってしまいました。ベテランと雖も、ドジするときはドジするものなのです。
やがて道は尾根に乗り長尾根核心部を歩きます。木々の隙間から丹沢山・竜ケ馬場の伸びやかな稜線が垣間見えます。
私が常に先頭を歩きます。“いつもこんなにゆっくりですか?”と訊ねられてもペースは変えません。
辺りはブナの黄葉で、所々にカエデ系の紅葉が混ざり、それぞれが日に映えて輝くような美しさです。花に詳しい女史ですが、辺りの樹木の美しさには感動したようで、さかんに樹木の名を知りたがります。 残念な事に、自分も植物に疎いのでした。お互いに盛んにシャッターを押しながら会話が弾み、ゆっくりゆっくり進みました。
新大日への詰めは急登です。そして短く感じる3時間で表尾根と合流いたしました。とたんに登山客が多くなりました。


新大日で早めの昼食を取り、表尾根を下ります。表尾根をヤビツ方面に下ることは珍しく、私は初めて、そして丹沢を知り尽くした女史にとっても初めての経験とのことでした。 普段とは逆方向に歩いてみると、お馴染みのコースがまるで初めてのコースのように新鮮に感じました。ところで、長尾尾根では終始フワフワした枯葉のじゅうたんを快適に歩いてきました。 表尾根は一変して足場の悪い、ササクレだった砕石の道歩きになります。 そのギャップに戸惑い、二人とも最初のうちは上手に歩けないのでした。でも展望は開け、適度なアップダウンや鎖場が出現し、変化に富んだ縦走路です。
烏尾山で小休止し、三ノ塔への登りです。足場が悪く急登で、本日一番の難所です。三ノ塔山頂へは寄らずに表尾根と別れ、小さなお地蔵さんの裏手からよもぎ尾根に入ります。


よもぎ平への道は自分にとっては4回目、お馴染みの道です。表尾根のオーバーユースされた荒れた道から脱出しホットした気分です。ですが、早くもこちらの道も一部が掘れ始めているようでした。 でもその危惧は無用でした。少し下り尾根巾が広がると、歩かれている形跡がほとんど見られなくなりました。再び落ち葉のじゅうたんの道です。
登ってきた女性二人連れとすれ違いました。そのうち一人は女史とお知り合いの方でした。私は数歩下がって遠慮していたのですが、その方は私の方にチラッ・チラッと視線を投げるのでした。二人の関係を怪しんだのでしょうか、あるいは当方の品定めでもしていたのかしらん。
到着したよもぎ平は天然樹林に囲まれた心が落ち着く場所、表丹沢のオアシスです。もっとも今年の紅葉は色鮮やかとは云えません。一般的には此処から先は右に折れ、諸戸森林組合が経営するBOSCOキャンプ場へ下ります。 よもぎ尾根の登山道はこの諸戸森林組合が整備したようです。
暫し休憩の後、私たちは鹿柵を潜り抜けてそのまま尾根伝いに降り、駐車地の札掛へ向かいます。このルートには登山道がありません。かすかな踏み跡も落ち葉で消されぎみです。所々で枝に巻かれたテープを頼りに、尾根を外さぬよう慎重に進みました。
ところで私は前月の今倉山登山でヒザを痛め、完治不明のまま不安を抱えて今回の登山に望んだのですが、とうとうその不安が現実となりました。右足のヒザ裏が痛み出し、急速に症状が悪化してきました。 前回とまったく同じパターンです。下り坂で足を降ろす瞬間がひどく痛むのです。木やストックを支えにして何とか気付かれないようにと痛さに堪えておりました。 注意力も散漫になったのでしょうか、目印のテープを見落としてしまい、女史から指摘されることが増えてまいりました。
“何か歩き方が変ですよ、ヒザを痛めたのではないですか?”とうとう見破られてしまいました。隠し通すことなどできっこなかったのです。
この程度のコースで足を痛めたのかと、女史に見下されるのがシャクだったのでした。バレてしまえば意地を張る必要はありません、以後足を引きずるようにしてようやく出発地のダライゴヤ沢へ降り立ったのでした。
沢の水量は豊富で渡渉の仕度を始めた当方を尻目にして、女史は飛び石伝いにジャンプしてサッサと対岸に渡りあそばせになって、私を大いに腐らせたのでした。

  

2006.11.19 記

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