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弘法山~聖峰へ 2007/09/19


  
 弘法山公園               聖峰から伊勢原の街並を俯瞰す

コース&タイム;
小田急秦野駅8:00~登山口8:25~8:55権現山9:05~9:20弘法山9:30~善波峠10:00
~10:20念仏山10:25~11:20高取山(556m)11:45~12:10聖峰12:20~恵泉女学園短大前13:00
=バス=13:25小田急伊勢原駅
所要時間;5時間、歩行時間;4時間

低山の半日コースながら、善波峠を越えると本格的登山道となります。傾斜の急なヶ所も少なくありません。水・足ごしらえなどそれなりの用意が必要です。
一方、弘法山一帯はよく整備された公園で、たくさんの人が手軽に散策を楽しんでいます。桜並木が続き、春にはお花見で大賑わいでしょう。
このコース【大山南稜】を高取山から先へさらに辿って大山山頂を目指す場合、相当きついことになるでしょう。
聖峰はあまり知られていませんが、相模平野が見渡せる好展望のピークで、由緒ある場所です。
今回コースの欠点として、下山後のバス便が少ない点が挙げられます。


弘法山一帯は、神奈川の景勝50選、花の名所100選に選ばれており、広く開けた権現山山頂の展望台からは、南西側に秦野の街・渋沢丘陵さらには箱根の山まで、南東側に相模平野の街並そしてその奥に相模湾&江ノ島、また北側は大山から岳ノ台・菩提にかけて山並の眺めが優れ、小さな丘陵であるがなかなかの好立地である。
弘法山(235m)は弘法大師が千座の護摩を修めたという信仰の山。隣の権現山と比べて展望は劣るものの、山頂には大師堂、鐘楼、乳の井戸などが残っていて、信仰の趣が深い落ち着いた場所である。
小田急秦野~鶴巻温泉を起終点とする一般コースは2時間半程度の手軽な散策コースで、人気が高いようだ。今回私は足を伸ばし、善波峠から大山南稜を高取山(コース最高点556m)まで登り、伊勢原側の聖峰を経て栗原へ下山した。
秦野駅から水無川に沿って下り、河原町交差点を名古木方向へ少し進むと道の右側に弘法山公園入り口の看板がある。

ところで、かつては丹沢の水をたっぷり集めた水無川が、秦野盆地に入るとその名の通り流れが忽然と消失してしまい、殺風景な涸れ沢となって街を貫いていたものだが、現在は流量が割合豊富である。
山中では水量の豊富な渓流が、平地へ出たとたんに細い流れに減じてしまうことはよく見かける。平地が扇状地の場合、大量の水が砂礫層に浸透するためである。
水無川の場合は、都市化により流入量が増えたことと、河川改修が進み流れが直線的になったために、水が浸透する間合いがなくなったことが水流出現の原因だろう?

さて、ハイキングコースに入るといきなり急な登りとなる。歩き始めで息が切れるが、少しの我慢で浅間山に着いてしまう。
コースは秦野側から順に浅間山・権現山・弘法山と、たいそうな名が付いた山を縦走するかのようだが、いずれも低い丘のピークにすぎない。浅間山から善波峠まではアップダウンの少ない緩やかな散歩道で、標識も整備されている。 そのうえありがたいことによく清掃された公衆トイレが浅間山付近の駐車場と権現山下に設置されていて、水道も引かれていた。 弘法山公園入り口から大山南稜登山道への分岐点となる善波峠(ゼンバトウゲ)までのんびり歩き、休憩を含めて90分で到着した。

峠からは本格的な山道となり、国道246号線の善波隧道はいつの間にかその上部を越えてしまい、車両の騒音が背後に遠のく。ゆるやかに上り高圧線鉄塔を過ぎると秦野市街地が一望できる小ピーク“念仏山”に着いた。地形図に記載なく、山頂標識でその名を初めて知った。ベンチがあり小休止に良い場所である。
ここから高取山まで高低差200m、およそ1時間の行程である。急坂もあって、思いのほかつらい登りだった。標識のある聖峰への分岐をやり過ごし、ひとしきりの急登で本コース最高点の高取山に着いた。手持ちの古い登山地図には鷹取山と表記されている。 山頂は樹林に囲まれて展望はないが、ベンチが設置された小広場で休憩に都合がよい場所だ。山頂の一角にはNHKの電波中継アンテナが設置されていて、このパラボラが時折自動的に向きを変える。その際、山中に相応しくない不気味な音を発したので、山頂で一人食事中の私は随分と驚かされた。

下山はすこし戻って聖峰方向の標識に従う。地図に記載がないルートながら道は明瞭である。出足は転げ落ちるような急降下だが直に緩斜面に変わる。里に近い割に山深い雰囲気がある。
中型の白い犬が出迎え、盛んに吠えながら私を導いて行く。 最初こそ怖い気がしたが、何かを告げる気配を感じた私は犬の導くままに進むことにした。犬は姿が見えなくなるまで先行しては立ち止まって振り返り、吠えながら私が追い付くのを待っている。 そんな行動を何回も繰り返して、聖峰の手前まで私を導いた犬は突然姿を隠し、その首輪に付けたカランカランと鳴る鐘の音さえも忽然と消えてしまった。不思議な犬である。
聖峰(375m ヒジリミネ)は、誕生に不思議な謂れを持つ「救世若」と名付けられた僧が天平の頃比叡山で修業を積んだ後に当地を修業の場として不動尊をまつったことが始まりとされ、「救世若」は当地の人々から「天野の聖」と呼ばれ崇められ、この地を聖峰と呼ぶようになったと云う。 今も地元の有志によって不動尊が手厚く祀られていることが、当地を訪れるとよく理解できる。 私も不動明王象が祀られた小さなお堂を、謙虚に礼拝した。
下山は九十九折れを10分も下ると車が通れる道幅となり、その後は道なりに下る。やがて舗装された車道となる。コスモスが咲き乱れ、ヒガンバナなども見られる懐かしい風景の栗原農園地を歩く。私は栗原のバス停を見逃したために次のバス停“恵泉女学園短大前”から乗車した。 バス停に着いた時刻が13:00、バスの時刻表を見ると13:00発ちょうど、しまったと思いながらもとどまると、2分後に伊勢原行きのバスがきた。   2007/09/24掲載

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