越前岳は愛鷹連山最高峰で人気の山。十里木から往復登山で4時間ほどとお手軽なうえ、富士山の好展望、十里木の登山口には無料の広い駐車場。 人気があるのも頷けます。 この日の予報は芳しくなく、降られたらこのお手軽コースを選ぶつもりでしたが、裾野インターを降り、山が近づくとワイパーをたまに動かす程度。 計画通り山神社の駐車地から周回コースに挑戦です。 黒岳はパスし、越前岳まで登り一方ながら静かないいコース。越前岳から呼子岳の間はヤセ尾根のアップダウン、割石峠からの下山路は枯れ沢のゴロタ石を約1時間の大下り、転ばぬよう神経を使いました。 富士山に近いこの山は富士噴火による火山灰を被ってスコリア土質を想像していたが、普通の腐葉土で植生豊かな山域だった。 愛鷹ツツジは期待通り花盛り。楽しくもあり、辛くもある美しいコースでした。 コース&タイム; 鳥居前駐車場9:20~10:05富士見峠10:15~11:45富士見台11:50~12:20越前岳山頂1507m 越前岳山頂12:45~13:45呼子岳13:50~14:15割石峠14:20~大沢橋15:15~15:50駐車場 所要時間;6時間半、歩行時間;5時間40分 旧東名を裾野インターで降り、469号線に入り、ヘアピンカーブの上部【愛鷹山登山口】を左折して狭い林道を2~3分で山神社登山口着する。 30台程収容する広い無料駐車場があり、仮説トイレが設置されていた。 ご夫婦らしき1組が支度中で他に車はなし。挨拶すると“周回コースは危なそうなので往復する”とのこと、支度の早い私が先行した。 登山口の標高は740m、山頂まで高低差764m。鳥居を潜って登山開始。 鳥居のすぐ上に山神の小さな祠があった。 雨具を着用していたが必要ないし、暑いのですぐに脱いでしまう。 急な山腹だが登山道は斜に切られていてそれほど急ではない。きれいに枝打ちされスクスクと育った杉林に天然木が混ざる好ましい森である。時に沢沿いを歩き、コケむして涼しい。 荒れた感じの無人小屋があり、気付かなかったが水場もあるようだ。 小屋を過ぎ一息で稜線に乗る。 壮年の登山者が一人休憩中。駐車場に車は見当たらなかったので尋ねると、黒岳経由で登ってきたとのこと、手持ちの登山地図(山と高原社)には黒岳へ直接登るルートは記されていないのだが? 山慣れしている中年男は確かな足取りで出発していった。 下方から声が聞こえる。先ほどの二人連れが追い付いてきたのだろう。 今の私には寄り道する余裕がない、黒岳はパスし越前岳へ向かった。 広い尾根を緩斜面・急斜面と繰り返しながら高度を上げていく。概ね展望は開けないが、愛鷹ツツジが転々と咲いてい心和む道である。 鋸山展望台では位牌岳方面が望まれ、ギザギザの鋸山はみるからに登山者を拒否している。上州妙義山を思い出す稜線である。 さらに登り、半円形に切れ落ちた崖の淵を回り込むように進む。穏やかな山容の越前岳だか此処だけは爆裂火口を思わせる荒々しさがある。 難儀するような場所はないのだが、登山道が雨道となって抉れてしまい快適とは云えない区間が所々に出現した。 富士見台はちょっとした広場になっていて、富士山の写真家【岡田 紅陽】が好んだとされる撮影場所。現在は樹木が育っていて富士の展望はたいしたことはない。 広場中央に背の高い脚立が設置されていた。展望台代わりにして下さい、ということなのだろうが脚立に登っての撮影は不安定だろうに。 どのみち今日の富士山は雲の中である、私は脚立に乗らなかった。 富士見台からは山頂が近いと踏んでいたが案外遠かった。 今までの静けさと打って変わり山頂は昼食中の団体客で混雑、4~5脚あるベンチはもちろん腰掛けられそうな石段・丸太まで満席だった。居場所のない私に引率者が詫びにきた。 バスツアーの登山客で十里木から往復コースとのことだった。 山頂からは、富士山は雲の中だったが駿河湾方面の展望は広い。愛鷹連山の位牌岳や大岳が見渡せた。澄んだ青空なら素晴らしい展望を伺わせる。 さらに一組の団体客が山頂に到着した。もはや大混雑、私は早々に縦走路へ向かった。 縦走路に入り一挙に静まり返った登山道、以後登山者と出会うことはありませんでした。 バランスが悪くなったことは自覚しています、ヤセ尾根のアップダウン、特にダウンは急激で身のこなしが危うい。バランスを失うと事故に直結。掴めるものは何でも掴みながらの下降である。 露岩のヤセ尾根と違って灌木が多いので恐怖が取りつくことはない。ツツジの咲く美しい道、愛鷹ツツジは蕾が多く、ミツバツツジが満開だった。 高場所への分岐、この枝道は見るからに危うい道だ。 呼子岳1310mへ本日最後の上り。短いも急坂。山頂は狭く展望もさほどのことはないが、一段高い場所に乗ると駿河湾に延びる伊豆半島が望まれた。 石割峠へ短いが急下降。中間点に枝道があって、標識矢印はどちらか迷う間の方向を指していた。 地図を確認したもののはっきりせず、仕方ないので直進方向に数十m進んだところ怪しげな道となり、引き返して正しい方向に進む。 石割峠は呼子岳の山肌と鋸岳の山肌が急激に落ち込み合わさった場所、その間の狭いⅤ字空間から富士市方向が覗ける珍しい場所で、地形的には山割峠が相応しいが、感覚的には【石割】で納得。 先ほどの迷い道の方角を眺めると、急激に谷に落ち込む相当危険な道のようだ。 峠を直進すると愛鷹連山もう一つの盟主【位牌岳】へ至るが、一般登山者立ち入り禁止の険路である。 下山路は最後の難所、枯れ沢の大下り。大沢の源頭を急降下する。ガラガラとした大石小石の道なきルートを転ばぬよう神経使いながらの下山。 20分ほど下ると沢沿い左岸の山道となり、その後再び枯れ沢を下り、今度は右岸の山道を行く。迷い道だらけのルート。目印は梢のテープ・石に記されたペンキ・ケルン・そしてかすかな踏み跡。 私はこの種の沢筋は何度か経験していて感が働くが、慣れないハイカーは戸惑いそう。 大沢橋を渡って林道に出る少し手前で細くなった道にロープが張られていた。いぶかって周囲を見ると河原に降りる方向に赤テープ。降りてみると河原にはマーク標識一切ない。 少し下ってみても何もない。人が踏んでる形跡がない。対岸に上ってみても道らしきものは何もない。分岐点を見落としたか? 引き返す覚悟を決め、もう一度周囲を観察するとさらに下流に堰堤が見える。そこまで行けば手掛かりを得そうだと河原を強引に下った。かなり不安を覚えた。 堰堤の右岸付け根から林道が始まっていた。 沢は広がり枯れたまま水無川となっていた。 駐車地に戻ると今朝出会ったカップルの車がまだ駐車していた。 ポツリポツリと雨が落ち出した。 |