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丹沢表尾根縦走  1491m  2004/4/16



塔ノ岳山頂より表尾根を振り返る・左奥に大山、右に三ノ塔



2004年4月16日、好天気の中、久々に丹沢表尾根を歩いてきました。
大倉まで車で入り、三ノ塔尾根~表尾根~塔の岳(1491m)~大倉尾根~大倉へと周回するコースです。
入山地の大倉周辺は秦野戸川県立公園として整備が進んできました。川辺の広々として美しい公園ですが、あの吊橋の異様なまでの立派さには違和感を覚えます。ここにも役所の無駄使いが。
 さて、しばらくぶりの本格登山としては、少々選んだコースがキツすぎまして、大倉尾根では行き倒れ寸前の状態で、つんのめるように無様な姿勢でようやく下山いたしました。
塔の岳へは過去10回近く登りましたが、今回ほど疲れたことはありません。
記憶の中での表尾根は快適な縦走コースでしたが、僅か数年経ただけで、これほどに嶮しく感ずる年になってしまったとは。
最も、大倉の平日無料駐車場の開門時間が8:30で、早めに到着した私は開門時間まで1時間以上も無駄にはできないので、かなり下流に駐車地を求め、その結果、累積標高差は1300m以上にもなってしまい、自分の脚力を超えてしまったことも確かでした。
ヤビツ峠からでしたら、まだまだ自分の脚力でも表尾根は何とかなりそうです。強がりかな。
皆様、本コースは車利用で周回するには実に都合良いですが、それなりの覚悟がいりますよ!
塔の岳山頂はちょうどお昼時の到着でして、相変わらずの人気で平日にかかわらず20人ほどが休憩しておりました。そういえば、翌々日の日曜日が丹沢山開きの日で、下山途中の大倉尾根では荷揚げしている小屋関係の方と何人もすれ違いました。大きな荷なので道を譲ると、丁寧なお礼が返ってきました。
それにしても、大倉尾根登山道の荒れようはひどいですね。
砕石場のクズ石捨て場を歩くような按配になってしまいました。幅も年々広がってきている印象です。
関係各方面で修復に努力されてはいるのでしょうが。
いずれ、鍋割山方面も同じ運命にならないか、不安を覚えます。

コース&タイム
三ノ塔登山口7:30-10:00三ノ塔10:10-12:20塔の岳12:50-15:30大倉バス停 所要時間;8時間





 大船の自宅を5:20に出た。既に充分明るい。
相模川を戸沢橋で渡り、小田原厚木道路の右側道を走り、秦野の市街地はバイパスして国道246号線に出た。
出発が30分遅れると相模川を越すのに一苦労し、その後も渋滞に捕まってしまうが、この時間帯はスムーズに流れ、目的地の大倉には7時大分前に着いてしまった。予想より随分早い。
公園付属の平日無料駐車場は8:30開門である。見渡したところ、近くに民間有料駐車場があり1回700円の看板が見えたが人の気配がしないので、無料で適当な場所がないか付近を捜してみることにした。
バス折り返し場所より上流の道路脇にもスペースはあったが、駐車厳禁の看板が目に付いたので遠慮し、結局水無川対岸の下流、公園の外れに駐車した。登山口から大分遠ざかってしまった。
上流の道路には、下山時にはかなりの台数が駐車されていた。
折角の無料駐車場であるが、開門が8:30では、登山用としては遅いのだ。
 身支度を整え~靴紐の結び目を確認し小さなザックを背負っただけであるが~7:10駐車地を出発した。
今回の荷は、自分で握った鮭のオムスビ2ケ、自分でゆでた卵2ケ、途中で購入した菓子パン1ケ、菓子1袋、コーヒー牛乳250ml1パック、そして水1L、それにカメラ、三脚、タオル、懐中電灯、登山ステッキ、地図、忘れてならないのが老眼鏡である。
雨具は、降水確率0%の予報なのでウエア類は持参せずに、折りたたみ傘を一応用意した。
靴は、バスケシューズ風にくるぶしが被る運動靴。最近愛用しているが軽くて具合が良い。
歩き始めの広々とした公園からは、これから辿る三ノ塔尾根が大きく大きく高度を増していき、その先に表尾根が眺められる。出発時にこれから登る山々を眺めるのは、実に良いものである。
20分ほどで公園上部の三ノ塔登山口である林道に着いた。


準備運動代わりに林道を活発に歩こうとしたが、体が未だに反応しないので仕方なく押さえ気味に歩いた。15分で尾根の登山口に着いた。小さな標識がある。軽くストレッチをした。ここから本格的な山道である。
私は、この三ノ塔尾根を登るのは今回が初めてであるが、下りのルートとしては過去2回利用している。
その時の薄い印象では、展望のない植林帯をダラダラとナガナガと下った、との思いがあるだけであった。
しかし今回歩いて、今までの印象を払拭した。好感のもてる静かな林間コースであった。
出足は植林帯の緩やかな無理のない登りで、体が運動モードに切り替わり体温の上昇を感じ始めた頃に、ほどよく傾斜が増し、やがて天然林が混ざり、所々で林が切れて大倉尾根や表尾根が見渡せる。
山道に入り1時間経過、そろそろ一息入れたい頃合いを見計らうように林道出合いの手前に休憩に適した好展望地に出る。ここでゆで卵1ケと菓子を少々食した。
ここまで早朝に小さなロールパン1ケを食っただけであり、空腹を覚えていたところであった。かように、このルートは実にタイミングが良い。
林道を横断した尾根道の後半は、山頂付近まで予想外の急登が続く。烏尾山がガレの向こうに間近に望める。
この間、他の登山者と出会うことはなかった。充実した静かな山道であった。
本日の登山はこれで終了させよう、などと、安易な誘惑にかられてしまった。
三ノ塔(1,205m)着;10:00、 山頂ベンチで菓子パンを1ケ食った。
春霞のこの時期としては珍しいくらいに、富士山がハッキリ眺められた。
たどり着いた時は山頂に他の人影はなかったが、じきに二ノ塔方面から連続して登山者が上がってくる気配を感じたので、10分ほどで休憩を切り上げて、早々に出発した。
いずれ追い抜かれるにしても、抜かれるグループは少ないほうが良い。ささやかな競争心である。
ヤビツ峠まで秦野発8:12のバスを利用すると、早い者が10:00過ぎに三ノ塔に到達するようだ。

 
    三ノ塔山頂風景
いよいよ本日のメインコース、丹沢表尾根縦走にとりかかる。
私はこのコースは5年ぶりとなる。
その時はバスでヤビツ峠へ行き、富士見橋から登り、塔ノ岳まで快適に歩いた記憶があった。
丹沢表尾根とは、塔ノ岳~ヤビツ峠間を指すが、縦走コースの範囲でいうと、稜線上の三ノ塔~塔ノ岳間がふさわしい。
2時間あまりのコースで縦走とは大袈裟な、と思われる方も、実際に歩いてみると納得しよう。
いくつもの頭峰を乗り越え、ヤセ尾根、岩場、林間、と変化に富んだ、展望の素晴らしい、立派な縦走コースである。
今回は三の塔までの登りで大分足を使ったが、それでも久しぶりの登山にしてはまだまだ余裕があった。
私の表尾根縦走の記憶では、快適さが強調されていて、甘く考えてしまったようだ。
改めて、この表尾根縦走コースの嶮しさを思い知った。
烏尾山へは、山頂北端の地蔵が祀られている場所から一旦ガレ場を急降下し、登り返す。
この地蔵の裏側からヨモギ平へ下る踏み跡があり、確認したところあまり歩かれていない様子なので、安心してしまった。
最低鞍部まではかなりの下りで、折角稼いだ標高なのにがっかりしてしまう。左下は激しくガレている。
烏尾山(カラスオヤマ)山頂には緑色のトンガリ屋根の小屋があり、遠方からも目立つ。
次のピーク、行者岳は東峰・西峰の双耳峰で、東峰からの下降は鎖場である。
両側が斬れ落ちたヤセ尾根を通過する。閉じられた書策小屋の前で休憩しコーヒー牛乳を一気に飲んでしまった。
振り返ると、三ノ塔が大分遠ざかり横に広がりをみせている。ここまでに既に3パーティに抜かれてしまったが、自分としてのペースはそれほど悪くない。
木ノ又小屋は小規模ながら、真新しい立派な建物である。息を整え、塔ノ岳山頂への詰のきつい登りに挑んだ。山頂着;12:20

 
    塔ノ岳山頂風景
塔ノ岳への前回登山は、2年前の1月に四十八瀬川上流部から堀山経由で大倉尾根を登り、鍋割山陵の小丸から二股へ下山している。雪はあまりなかったように記憶している。
その時と比べて山頂の荒廃は一段と進み、今ではガレ場の山頂になってしまった。展望だけが相変わらず素晴らしい。
入山者が多すぎて、植栽が間に合わないのだ。
当日も20人ほど休憩していて、次々と入れ替わるのでその3倍位訪れたのではと思う。週末は大混雑なのであろう。
山頂でサンドイッチを食べていた若い外人女性に別れを告げて、大倉尾根を下った。
この道も荒廃が激しい。土が洗われてしまいガレ場そのものである。堀山から花立間が特にひどい。
順調であった足が、ここにきて急に疲労してきたのを自覚した。蓄積した疲労によるものだが、この忌々しい荒れた登山道のせいにしたくなった。
しかし、大倉尾根が一手に登山者を引き受けてくれているおかげで、丹沢の他の地域の登山道は自然が維持できているのである、感謝しなくては、と思い直した。
           

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